【獣医師コラム:血液検査の数値の見方】
こんにちは!世田谷区の世田谷サクラ動物病院です。3月から春の予防キャンペーンか始まりました。フィラリア予防薬や健診の血液検査がお得になっています!
前回のコラムでお話したように毎年、フィラリアの投薬の前に血液検査を行いますが、せっかく血を採るのでこの機会に健診の血液検査をするこをお勧めします!
わんちゃんねこちゃんの1年は人間では4年に換算されるため、最低でも一年に一回の血液検査が必要です。血液検査ではわずかな血液でわんちゃんねこちゃんの全身の状態がわかります。そのマーカーによってどんな事がわかるのかを記載しましたのでご参考にしてください。
◉総蛋白(TP):血液中の蛋白質の総量を示し、栄養状態、肝・腎機能や免疫機能の指標となります。Alb,Globの数値と併せて評価します。
高値:脱水、炎症、B細胞性腫瘍
低値:肝不全、蛋白喪失性腸症、蛋白喪失性腎症
◉アルブミン(Alb):血液中に多く含まれる蛋白質です。
高値:脱水
低値:肝臓、腎臓、腸などの疾患や出血
◉グロブリン(Glob):血液中に多く含まれる蛋白質です。
高値:脱水、慢性炎症、腫瘍
低値:免疫異常
◉アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST): 肝臓、骨格筋、心筋に多く含まれている酵素です。
高値:肝細胞障害、筋障害、溶血
◉アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT):肝臓に多く含まれている酵素です。
高値:肝細胞障害
◉アルカリフォスファターゼ(ALP): 肝臓や胆管、骨、胎盤など全身の諸臓器に含まれている酵素です。
高値:胆汁うっ滞、ステロイド性(イヌ)、甲状腺機能亢進症(ネコ)、肝リピドーシス(ネコ)、若齢動物、骨疾患
◉ガンマグルタミルトランスペプチターゼ(GGT): ALPと同様に誘導酵素と呼ばれるグループで、胆管系の疾患の診断に用いりますが、動物種によってその増減がことなるため注意が必要です。
高値:胆汁うっ滞、胆管肝炎
◉総コレステロール(TCho) 生体の主要脂質成分であるコレステロールの血液中の総量を示します。
高値:肝臓や胆道、腎臓の疾患、糖尿病、甲状腺低下症などの内分泌疾患
低値:肝不全、小腸疾患
◉トリグリセリド(TG):高脂血症の指標として用います。
高値:甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、肝臓病等
◉総ビリルビン(TBil):ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンの代謝産物です。
高値:溶血、肝障害、胆汁の排泄経路の閉鎖
◉グルコース(Glu) 血糖値を示し、糖尿病や低血糖の診断に用います。食事の影響を受けるため、食後に上昇します。また興奮などのストレスやステロイドの投薬の影響により上昇する場合もあります。
高値:糖尿病、生理的高血糖(食後、興奮時)
低値:肝不全、副腎皮質機能低下症、インスリノーマ
◉アミラーゼ(Amy):主に膵臓から分泌される消化酵素です。膵炎の指標として用いられます。
高値:膵臓疾患、腎血流量低下
◉リパーゼ(Lip) 主に膵臓から分泌される消化酵素です。膵炎の指標としてもちいられます。
高値:膵臓疾患、腎血流量低下
◉尿素窒素(BUN):腎臓から排泄される代謝産物です。
高値:腎疾患、尿路閉鎖、循環血流量低下
低値:肝不全
◉クレアチニン(Cre):腎臓から排泄される代謝産物です。
高値:腎疾患、尿路閉鎖、循環血流量低下
◉SDMA:対称性ジメチルアルギニン。腎臓から排泄される代謝産物で、早期の腎疾患の発見を可能にする犬猫の腎機能マーカーです。
◉カルシウム(Ca)
骨代謝や筋肉の収縮、血液凝固などに関与します。
高値:腫瘍性疾患、上皮小体機能亢進症
低値:低アルブミン血症、慢性腎臓病、急性膵炎
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